有原の完封が導いたカード勝ち越し ― 日本ハムvs楽天3連戦を振り返る
北海道日本ハムファイターズは8月7日から9日にかけて、エスコンフィールドで東北楽天ゴールデンイーグルスと3連戦を戦い、2勝1敗でカードを勝ち越しました。この結果、日本ハムはパ・リーグ2位に再浮上。首位ソフトバンクとの7.5ゲーム差を追いかけるポジションは変わりません。
今回はこの3連戦を1試合ずつ振り返りながら、投手陣の踏ん張りと新庄采配がどのようにカード勝ち越しにつながったのかをデータで検証していきます。
| 試合日 | スコア | 勝敗 | 日本ハム先発 | 楽天先発 | 勝利/敗戦投手 |
|---|---|---|---|---|---|
| 8/7(金) | 3-2 | ○ | 達孝太 | ウレーニャ | 勝:柳川大晟 / 敗:中込陽翔 |
| 8/8(土) | 0-6 | ● | 加藤貴之 | 早川隆久 | 勝:早川隆久 / 敗:加藤貴之 |
| 8/9(日) | 1-0 | ○ | 有原航平 | 古謝樹 | 勝:有原航平 / 敗:古謝樹 |
第1戦(8/7)8回サヨナラの逆転勝ち ― 我慢の投手戦を制す
初戦は3-2で日本ハムが勝利しました。先発の達孝太投手は7回109球を投げ、6安打1本塁打を許しながらも7奪三振で2失点(自責2)と踏ん張り。試合を作りました。
打線は楽天先発ウレーニャ投手(5回2/3、5安打5奪三振)を最終回まで崩せず苦しみましたが、7回に楽天の中継ぎ・九谷瑠投手から2点を奪って同点に追いつくと、8回には中込陽翔投手から勝ち越しの1点を奪取。中込投手は0.1回で1失点(自責1)を喫し、敗戦投手となりました。8回を無失点で締めた柳川大晟投手(1回、無安打)が勝利投手となっています。
| 投手 | 結果 | 投球回 | 球数 | 被安打 | 奪三振 | 四球 | 失点(自責) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 達孝太(日本ハム) | QS | 7回 | 109 | 6 | 7 | 1 | 2(2) |
| ウレーニャ(楽天) | ― | 5回2/3 | 72 | 5 | 5 | 3 | 0(0) |
初戦から接戦を制した意味は小さくありません。楽天投手陣を6投手(ウレーニャ、加治屋蓮、泰勝利、九谷瑠、中込陽翔の各投手)からの継投で追い詰め、終盤の粘りで白星をもぎ取った試合運びは、その後2試合にも良い流れを残す内容でした。
なお達孝太投手はこの試合でクオリティスタート(6回以上・自責点3以下)を達成しています。今季の達投手はシーズン当初から思うような活躍ができず、6月には一軍先発を外れる苦しい時期もありましたが、復帰後の7月31日(6回無失点)、そして今回8月7日(7回2失点)と、直近2登板は連続でQSをクリア。シーズン序盤に見られた早期降板が減り、先発投手として試合を作れる安定感が増してきている点は、今後のローテーションを考える上でも心強い材料と言えるでしょう。
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第2戦(8/8)早川隆久の壁 ― 完封負けで痛感した打線の課題
一転して第2戦は0-6の完封負けを喫しました。楽天先発の早川隆久投手は8回106球を投げ、6安打を許しながらも自責点0、11奪三振という圧巻の内容。日本ハム打線はこの試合、無得点に抑え込まれています。
| 投手 | 結果 | 投球回 | 球数 | 被安打 | 奪三振 | 四球 | 失点(自責) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 早川隆久(楽天) | 完投勝利 | 8回 | 106 | 6 | 11 | 1 | 0(0) |
| 加藤貴之(日本ハム) | 敗戦 | 6回1/3 | 105 | 8 | 4 | 1 | 4(2) |
日本ハム先発の加藤貴之投手は6回1/3を投げ8被安打4失点(自責2)で敗戦投手に。7回に楽天打線に一気に4点を奪われた場面が試合の分岐点でした。この回は中島大輔選手、辰己涼介選手の適時打に加え、マッカスカー選手・村林一輝選手・太田光選手の二塁打が連続するなど、楽天打線が早川投手の好投に応える猛攻を見せています。継投した上原健太投手も0.2回で2失点(自責2)と苦しく、この日は投打ともに主導権を握れませんでした。
この完封負けは、翌日の新庄剛志監督のコメントという分析となり、第3戦の機動力采配を生む伏線になっていたと見ることができるでしょう。
第3戦(8/9)有原航平、2試合連続完封で1000奪三振 ― カード勝ち越しを決めた投手戦
最終戦は1-0の投手戦を制し、日本ハムがカードを勝ち越しました。この試合の主役は、文句なしに先発・有原航平投手です。
有原投手は9回118球を1人で投げ切り、6安打11奪三振、自責点0で完封。前戦(8/2)に続く自身初の2試合連続完封という快挙を達成しました。さらに3回には史上161人目となるNPB通算1000奪三振も記録しています。
| 投手 | 結果 | 投球回 | 球数 | 被安打 | 奪三振 | 四球 | 失点(自責) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 有原航平(日本ハム) | 完封勝利 | 9回 | 118 | 6 | 11 | 1 | 0(0) |
| 古謝樹(楽天) | 敗戦 | 8回 | 86 | 2 | 6 | 0 | 1(1) |
初回は1死一、二塁のピンチを招きましたが、続くマッカスカー選手、村林選手を打ち取り無失点。6回にも先頭打者に安打を許すピンチがありましたが、後続を断って0点に抑え続けました。
打線は楽天先発・古謝樹投手に6回まで完全投球を許す苦しい展開でしたが、7回にこの試合の注目ポイントが訪れます。先頭の五十幡亮汰選手がチーム初安打で出塁すると、水野達稀選手がキャンプから練習していたというバントエンドランを見事に決めて、五十幡選手が一気に三塁へ。一死三塁のチャンスを作ると、万波中正選手が遊撃手の頭を越える適時内野安打でこの試合唯一の1点を叩き出しました。
新庄剛志監督(有原投手について)「いやあ、有原君。すごかったね」「真っすぐのキレと、フォークの落ちる場所」「このまま今シーズンは全部完封で締めてもらって」
シーズン序盤の有原投手は決して順調ではありませんでした。4月26日のオリックス戦では3回1/3で8自責点を許すなど、5敗を喫する厳しい時期もありました。しかし7月2日に6回1失点で勝利投手となって以降、8月2日のロッテ戦で今季初完封、そして今回8月9日で2試合連続完封と、直近3登板の自責点はわずか1という圧巻の安定感を見せています。
| 試合日 | 相手 | 投球回 | 失点(自責) | 結果 |
|---|---|---|---|---|
| 7/20 | オリックス | 6回 | 1(1) | 敗 |
| 7/2 | オリックス | 6回 | 1(1) | 勝 |
| 8/2 | ロッテ | 9回 | 0(0) | 勝(完封) |
| 8/9 | 楽天 | 9回 | 0(0) | 勝(完封) |
序盤の苦しみを乗り越え、まさにチームのエースへと成長した投球内容だけに、優勝争いが続く終盤戦でこの投球を維持できるかどうかが、日本ハムの浮沈を左右する大きな鍵になりそうです。
新庄采配の妙 ― 「打線が寒い時期」を機動力で乗り切る
この3連戦を通して見えてくるのは、打線が沈黙する時期にどう勝ち星を拾うかという新庄監督の采配意図です。第2戦の完封負けを経て迎えた第3戦、新庄監督は俊足の五十幡亮汰選手・水野達稀選手を1、2番に並べ、実際にバントエンドランという奇襲で虎の子の1点を演出しました。
さらに新庄監督は、捕手・田宮裕涼選手の負傷離脱や進藤勇也選手の打撃不振(2打数無安打で打率.176)を受け、内野・外野を主戦場としてきた郡司裕也選手を約1年ぶりに捕手として起用するなど、打線低迷期を乗り切るための引き出しの多さも見せています。打てない時期でも守りと機動力、そして投手陣の踏ん張りで勝ち星を積み上げる ― この3連戦はそのモデルケースとなりました。
順位表から見る今後の展望
8月9日終了時点のパ・リーグ順位表では、日本ハムは105試合を消化し59勝46敗、勝率.562でパ2位。3位西武(56勝45敗3分、勝率.554)とはわずか1ゲーム差、首位ソフトバンク(64勝36敗1分、勝率.640)とは7.5ゲーム差です。
| 順位 | チーム | 試合 | 勝 | 敗 | 分 | 勝率 | 差 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | ソフトバンク | 101 | 64 | 36 | 1 | .640 | ― |
| 2 | 日本ハム | 105 | 59 | 46 | 0 | .562 | 7.5 |
| 3 | 西武 | 104 | 56 | 45 | 3 | .554 | 1 |
| 4 | オリックス | 103 | 50 | 51 | 2 | .495 | 6 |
| 5 | ロッテ | 98 | 46 | 49 | 3 | .484 | 1 |
| 6 | 楽天 | 99 | 38 | 60 | 1 | .388 | 9.5 |
なお対楽天戦の今季成績は12勝7敗と勝ち越しており、今回の3連戦も含め楽天戦とオリックス戦(12勝6敗)での安定した強さがチームの貯金(13)を支えている構図が見えてきます。7.5ゲーム差は決して小さくありませんが、直接対決に強いチームが終盤に勢いをつける展開は十分にあり得るシナリオです。
日本ハムは8月11日から本拠地エスコンFに西武を迎えての3連戦に臨みます。2位、3位の直接対決で、首位ソフトバンクを追撃する勢いを増すことができるかに注目したいところです。
今回の3連戦は、初戦のサヨナラ勝ち、2戦目の完封負け、そして3戦目の投手戦制覇と、内容の異なる3試合が並びました。しかし共通しているのは、打線が絶不調でも投手陣の粘りと機動力采配で勝ち星を拾えるチームへと変化しつつあるという点です。正念場が続くわれらが日本ハムファイターズ。悲願の優勝をめざして、もう一段ギアが上がったチームに成長できるよう、私たちファンもしっかり応援を続けていきたいと思います。頑張れ、日本ハムファイターズ!
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