後半戦初戦カード2勝1敗、日本ハムに見えた"優勝への光" 有原航平・達孝太が同時復活
オールスターを挟んで再開したプロ野球後半戦。北海道日本ハムファイターズは、本拠地エスコンフィールドHOKKAIDOでの千葉ロッテマリーンズとの3連戦を2勝1敗で勝ち越し、後半戦を好スタートを切りました。貯金は今季最多となる13を数えています。
このカードで特に注目したいのが、先発投手陣の"復活"です。63日ぶりの先発マウンドで好投した達孝太投手、そして今季ずっと苦しんできたエース級右腕・有原航平投手が、今季初完封という最高の形で復調をアピールしました。今回は、この2人の投手の投球内容と、有原投手については月別成績データも交えながら、その復活の軌跡を振り返ります。
達孝太、63日ぶり先発で6回無失点9K
7月31日、後半戦の初戦に先発マウンドを託されたのは達孝太投手でした。今季初めて開幕ローテーション入りを果たしたものの、4月下旬から5戦5敗と結果が出ず、一度は登録抹消。その後、新庄剛志監督から経験を積ませる狙いで中継ぎへの配置転換を告げられ、本人は不本意ながらも2セーブ・5ホールドと高いポテンシャルを発揮していました。
約2カ月ぶりとなったこの日の先発登板では、104球を投げて3安打無失点、9奪三振の好投。4月21日の楽天戦以来、実に101日ぶりの白星をつかみました。試合後は「テンポは悪かったですけど、抑えるべきポイントは抑えられたのでよかった」とコメント。中継ぎ経験について「速いボールを投げるメカニクスはチャレンジできた」と振り返り、リリーフでの経験が先発復帰後の投球にも生きたことをうかがわせました。
新庄監督は「1回ぐらい中継ぎでガンガン押してたピッチングも見たかったけど、ゼロに抑えてるんでね。たいしたもんですよね」と評価。先発への手応えを取り戻した達投手が、後半戦の一つの柱になりそうです。
有原航平、"どん底"からの完全復活
そして迎えた8月2日、シリーズ最終戦の先発マウンドに上がったのが有原航平投手(33)でした。結果は9回100球、3安打無四球無失点、9奪三振という圧巻の内容で、今季初完封(自身通算9度目)。日本ハム復帰後では初の完封勝利で、今季3勝目(6敗)をマークしました。
わずか4球で三者凡退に抑えた1回表を皮切りに、5回・7回にヒットを許した以外は隙のない投球を披露。9回には100球目で打者を仕留めて試合を締めくくり、「最後まで投げられてチームが勝てたのはすごくうれしい。やりたいピッチングがだいぶできていたと思う」と充実の表情を見せました。
球数100球ちょうどということで、100球未満での完封「マダックス」達成にはあと1球届きませんでした。新庄監督はこれを逆手に取り、「名前を塗り替えてもらうように。ここからずっと80球台で終わったら『アリックス』に変わると思うので、それを作ってほしい」とユニークなエールを送っています。
データで見る"どん底からの復活"
今季の有原投手は、順調ではありませんでした。2年連続最多勝のタイトルを引っ提げてソフトバンクから6年ぶりに日本ハムへ復帰したものの、3月、4月は1勝4敗・防御率8.23と大きく崩れ、4月27日に登録抹消。ファームで約2か月間の再調整を経験するという、屈辱の前半戦を過ごしていました。
その苦しみの度合いは、月別防御率の推移を見るとより鮮明になります。
3月7.50→4月8.44と、シーズン序盤は防御率8点台まで悪化。ここが完全な"どん底"でした。5月30日の交流戦・巨人戦で先発復帰を果たすものの、7回4失点で負け投手に。再びファームで調整をはかり、7月2日のオリックス戦で再復帰し、6回1失点で2勝目をあげました。同20日の登板では6回3失点(自責1)。負け投手にはなりましたが、QSを達成し、徐々に本来の力を取り戻してきました。
そして迎えた8月2日の完封勝利へとつながってきたのです。
この復調の背景にあったのが、ファーム期間中に取り組んだ動作解析システム「スポーツ・バイオメカニクス」を用いた投球フォームの数値化です。直球の質向上を重点課題に据え、休日もウェート場にこもってトレーニングを積み、心拍数を高めるためポール間走のインターバルを短縮するなど、基礎的な部分から体づくりをやり直したといいます。
新庄監督からはかねて「ストレートの物足りなさ」を指摘されていましたが、有原投手自身も「やっぱりストレートをしっかり投げないと、今日みたいな変化球が生きてこないとは自分でも思っていた」と振り返っており、課題を自覚した上での地道な取り組みが結果に結びついた形です。実際、この試合では速球が走ったことで、これまで苦手にしていた左打者も抑え込むことに成功しました。「チェンジアップを待っている時にうまくカットボールも投げられていた」と自己分析するように、直球への信頼が戻ったことで、多彩な変化球を生かすことができる好循環が生まれています。
また、「進藤がうまく配球してくれた」(有原投手)と言う通り、マスクをかぶった進藤捕手との呼吸も光りました。新庄監督も「相手の待ってる球を狂わす配球っていうのも、進藤くんがしてくれたと思う」とバッテリーの働きを評価。技術面の復調に、バッテリーの信頼関係という要素も加わり、今季最高の投球につながったと言えそうです。
有薗直輝の活躍
この試合の勝利を語る上で欠かせないのが、三塁を守った有薗直輝内野手(23)の存在です。2回、1死から四球で出塁した清宮幸太郎選手を、有薗選手のライト線への先制タイムリー二塁打で迎え入れ、貴重な先制点をもたらしました。7月終盤から活躍を見せていた有薗選手ですが、その好調を維持できているようです。
守備面でも存在感を発揮しています。7月31日の試合では三塁線への鋭いライナーをジャンピングキャッチする好守を見せ、新庄監督が「(エスコンフィールドは)屋根が開くとグラウンドの砂が少しサラサラしてイレギュラーが増える」という難しい条件の中、有薗選手がいつもより前進守備を敷くことで強い打球にも対応できたと語っています。ここまでの日本ハムが守備の乱れから失点を重ねていっただけに、投手陣の好投を陰で支える堅守の存在に成長してほしいものです。
後半戦の展望
達投手・有原投手という先発2枚の復調に、有薗選手ら若手野手の勢いが加わり、日本ハムは後半戦開幕カードを2勝1敗で好発進させました。8月4日からは、いよいよ首位を走る天敵・ソフトバンクとの直接対決3連戦が控えています。新庄監督は「全部勝ちます」と力強く言い切っていますが、逆転優勝へ向けた本当の勝負はここから始まると言っても過言ではありません。逆に連敗するようなことがあれば、ソフトバンクにマジックが点灯する可能性もあります。
有原投手が"アリックス"と呼ばれる新たな伝説を作れるのか、そして達投手がこのまま先発ローテーションに定着できるのか。後半戦の投手陣の動向から目が離せません。
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