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2026年7月30日木曜日

【日本ハム前半戦総括④】先発・中継ぎ・抑えの現在地
〜投手成績を徹底分析〜

日本ハム前半戦総括シリーズ 全5回 ④

先発・中継ぎ・抑えの現在地
〜投手成績を徹底分析〜

日本ハムの前半戦チーム防御率は3.31。パ・リーグ全体で見ても上位に位置する数字で、96試合で54勝を積み上げた原動力になりました。今回は先発ローテーションからリリーフ陣まで、投手成績を細かく見ていきます。

先発ローテーション:北山投手・加藤貴之投手が計算できる存在に

投手防御率登板勝敗投球回
北山亘基2.1116(全て先発)9勝3敗102.1
加藤貴之2.6615(14先発)10勝1敗84.2
伊藤大海3.2918(全て先発)8勝5敗120.1
細野晴希2.8410(全て先発)3勝5敗63.1
山﨑福也2.4512(5先発)4勝0敗33.2
有原航平5.838(全て先発)2勝6敗46.1

加藤貴之投手(10勝)、北山亘基投手(9勝)、伊藤大海投手(8勝)の先発3本柱がハーラートップを争うという安定した成績がまず目を引きます。

中でも北山投手と加藤投手が防御率2点台をキープ。特に加藤投手はわずか1敗という圧倒的な勝率(.909)を記録しており、勝ちパターンを作れる先発陣の存在が、5月、6月のチームの躍進を支えました。

一方で伊藤投手が、6月19日のソフトバンク戦で8勝目を挙げて以降は白星から遠ざかっているのが気がかりです。オールスター戦で2発のホームランを打たれているのも、ちょっと不安がよぎります。ただ、7月22日の西武戦では試合こそ破れてしまいましたが、味方が記録に残らないまずい守備で得点を奪われながら、何とか6回を3失点で踏ん張りました。大崩れしなかったところはさすがエース、新庄監督も次のように評価していますので、やはり後半戦も伊藤投手を中心にローテーションが回っていくことは間違いないでしょう。

新庄監督「今まで見た中でトップクラスのテンポとコントロールで良かった。ちょっと野手の判断ミスで申し訳なかったです」
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前半戦の誤算:有原航平投手だけではない

先発陣で唯一防御率が5点台なのが有原航平投手(5.83、2勝6敗)。優勝への切り札として大いに期待されたベテランですが、前半戦は苦しいシーズンとなりました。ファームでの調整から戻った7月に入ってからは2戦連続でQSを果たしており、後半戦での活躍に大いに期待したいところです。

誤算だったのは有原投手だけではありません。細野晴希投手は開幕早々にノーヒットノーランを達成し先発の軸としての活躍に大きな期待を集めましたが、その後は勝ち星に恵まれず3勝5敗と黒星が先行。さらに昨年の後半に素晴らしいピッチングを見せて今季の大ブレーク候補だった福島蓮投手、達孝太投手もそれぞれ前半戦は苦しい戦いを強いられてしまいました。3本柱以外に計算できる先発の頭数がそろわなかったことが、3,4月にチームが勝てなかった大きな要因の一つと言えそうです。

6,7月にチームが上昇気流に乗ると、投手陣にも明るい材料が出てきました。山﨑福也投手が、先発で4連勝。後半戦は先発としての本格復活が期待されます。加えて、先発からブルペンに回った達投手が、抑えやセットアッパーで本来の力を発揮し、後半戦での先発ローテーション復帰の見通しが立ちました。前半戦で苦しんだ分を補って余りある厚みが先発陣に生まれるはずです。

投手陣の各種指標から

◆ミニ解説:WHIP・K/BB・RSAAってどんな指標?

WHIP(Walks plus Hits per Inning Pitched)
(被安打+与四球)÷投球回で算出。1イニングあたり平均何人の走者を出したかを示す指標で、数値が低いほど失点を防ぐ土台がしっかりしていることを意味します。
K/BB(奪三振/与四球)
奪三振数を与四球数で割った値。四球で走者を出さずに三振を奪えているかを示し、数値が高いほど制球と奪三振能力を兼ね備えた投手陣であることを表します。
RSAA(Runs Saved Above Average)
(リーグ平均失点率-個人の失点率)×投球回÷9で算出。平均的な投手に比べて、その投手がどれだけ失点を防いだかを表す投球評価指標です。プラスが大きいほど優秀で、マイナスは平均より失点が多いことを示します。

パ・リーグ投手成績(各種指標)を見ると、日本ハムの投手陣の強みと課題がより鮮明になります。WHIP1.19はリーグ2位(1位は西武の1.15)、与四球の少なさを示すBB/9は2.57でリーグ最少、K/BB3.03もリーグトップと、四球で自滅しない制球力の高さが際立ちます。被打率.239もリーグ2位の低さで、簡単には打たれない投手陣であることがわかります。また、QS(クオリティスタート)勝率.731(52試合でQSを記録し38勝14敗)はリーグトップ。先発が試合を作った試合に限れば、日本ハムが最も勝てているチームであり、先発投手が早い回で崩れた時に、ブルペン陣がどう踏ん張るかが優勝への課題ともいえるでしょう。

一方で、被本塁打87本はロッテと並ぶ最下位。RSAAの6.17はソフトバンク(31.16)と西武(46.02)に大きく水をあけられての3位で、トップ2チームとの間にはまだ差があるのも事実です。

制球力という土台の上に、ここぞという場面で一発を防ぐ力を積み増すことで、防御率3.31からさらなる上積みを狙いたいところです。

盤石の勝ちパターン:島本浩也投手・田中正義投手・柳川大晟投手・堀瑞輝投手

投手防御率登板セーブ/ホールド
島本浩也1.323318S
田中正義3.133317H
柳川大晟2.183419H
堀瑞輝1.69205H

QSの勝率が高いということは、勝ちパターンの安定感が抜群であることを示しています。特に今シーズン加入した島本浩也投手が防御率1点台という圧巻のでき。最強の補強となりました。守護神・柳川投手もセーブ数では既にキャリアハイを記録。一時、疲れからファーム調整期間もありましたが、役割を果たしています。セットアッパーとなったジャスティス・田中正義投手は、終盤に疲れからか打たれた場面もありましたが、交流戦では“ホールド王”に輝くなど、盤石の勝ちパターンを形成することができています。堀瑞輝投手の復活もうれしい驚きでした。

半面、先発が早い回で崩れると、ずるずると崩れるパターンも目立ちました。昨シーズンの後半、セットアッパーとして覚醒した上原健太投手や金村尚真投手、斎藤友貴哉投手、山本拓実投手らが、今一つ持ち味を出せなかったのが悔やまれます。

頭角を現してきた柴田獅子投手ら若手がどこまで伸びるか。また、河野竜生投手、池田隆英投手、玉井大翔投手、そして大ベテランの宮西尚生投手ら、これまでブルペンを支えてきた面々が戻ってこれるか、後半戦の注目ポイントとして期待しましょう。

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守備の乱れが投手陣の足を引っ張る場面も

気になるのが、チーム失策61という数字です。前半戦は守備のミスが失点に絡むケースが目立ちました。この61失策は2位西武の44を17も上回る、リーグで断トツの多さです。要因の一つとして、打撃を優先した結果、本来の専門ポジションではない不慣れな守備位置での起用が増えていることが挙げられます。

さらに、解説者の斎藤雅樹氏が7月22日の西武戦でのセンター・吉田選手のプレーについて「いい打球なんですけど、吉田が2、3歩前に来ちゃっているのでね。あそこでしっかり打球判断ができていれば捕れたと思いますし、(4回の)もう1点ももうちょっと積極的に行けばという所はあったような気がしますね」と指摘したように、記録上は失策としてカウントされない「隠れたエラー」――一歩目の反応の遅れや判断ミスによる余分な進塁など――も相当数あると見られ、実際の守備の綻びは数字以上に大きい可能性があります。

好投を守備が台無しにしてしまう構図は、後半戦で改善すべき明確な課題です。

新庄監督「そんなダントツはいらない」「(練習を)バッティングなしで守備だけするとか。(そういう日をつくるのではなく)いや、1年中。そしたらうまくなるのかな」
3.31チーム防御率
61チーム失策(リーグ断トツ最多)
764チーム総奪三振

まとめ:上位2チームに打ち込まれた前半戦。守備の安定も課題

チーム防御率は3.31で3位。完投勝ちが9で西武と並ぶトップに対し、HP(ホールドポイント=ホールド数+救援勝利数)79と5位という点からも、リリーフ陣の立て直しが急務であることが伺えます。一方で無四球試合10、BB/9・K/BBがいずれもリーグトップと考えると制球力の高さも見てとれます。

実は、対戦チーム別に見ると、ソフトバンク戦の防御率は6.90、西武戦では3.82。他の3チームには2点台であることを考えると、この2チームに打ち込まれたことが、前半戦3位にとどまった大きな要因とあることは間違いありません。

ソフトバンク、西武の2強の打撃陣をどう抑えるかが、優勝戦線に浮上する大きなカギになりそうです。有原投手、山﨑投手・達投手らの先発復活に加え、2強を抑えこめる投手が出てくるかどうか。そして堅実で安定した守備で、投手陣を支える体制ができれば、後半戦はもっともっと楽しめる戦いになるはずです。

次回はいよいよ最終回。新庄監督の言葉も交えながら、後半戦の展望をまとめます。

データ出典:日本ハム投手成績(7/27時点)

【日本ハム前半戦総括⑤】(2026.7.30予定)

データ出典:日本ハム打撃成績(7/27時点)

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